2022年10月31日(月) 協賛事業
「写真で綴る若狭南川流域の民俗行事」を発刊しました(当財団協賛)
若狭路文化研究所(多仁照廣所長)は、当財団の協賛のもと、小浜市とおおい町名田庄地区を流れる南川流域の祭りや神事を取りまとめた「写真で綴る若狭南川流域の民俗行事」を令和4年10月に刊行しました。
本書は、小浜市在住の写真愛好家・須川建美さんが20年にわたり南川地域の祭りや神事を独自に取材・記録し、その際に撮影された81の民俗行事の1000枚を超える写真により綴られています。
近年、コロナ禍で地域の祭りや行事の中止が相次ぐ中、伝統ある民俗行事を継承しようと、同研究所の「垣東敏博」副所長が、これまでの須川さんの貴重な記録をもとに監修・編纂しました。
本書は125ページで、最初に南川とその流域について各地区の歴史や特色が記載され、そのあと各民俗行事が写真をもとに解説されています。
前半では、南川流域の複数の集落にまつわる民俗行事として、燃える松明(たいまつ)を柱の先端のかごに投げ入れる夏の火祭り「松上げ」や「獅子舞」「キツネ狩り(福入れ)」など23の民俗行事の様子が写真に図解や唱の歌詞も交え、実施地区や行事内容が分かりやすく掲載されています。
また、後半では、南川の上流から下流の順で6地区の各集落における祭りや神事など81の民俗行事の様子がページごとに紹介され、それぞれ上部に写真、下部に実施の時期や内容が詳細に掲載されています。
今回の本書の刊行は、若狭南川流域に数多く分布する民俗行事の記録写真として、今後の民俗学研究の貴重な資料となるでしょう。
少子高齢化や担い手不足などの問題が深刻化している今日、各地域において受け継がれてきた民俗文化が、こうした記録の保存によって後世に伝承されていくことを願っています。