共催
若狭路文化研究会と共催で「『「若州良民伝』に学ぶ」フォーラムを開催しました
開催期間 2005年6月19日
「「若州良民伝」に学ぶ」フォーラム(若狭路文化研究会主催、当財団共催)が、平成17年6月19日、敦賀市の敦賀女子短期大学で開催されました。
この企画は、同研究会と当財団が共同発刊した「若州良民伝」の復刻にちなんで開催したもので、地方史愛好者ら約40人が参加しました。
最初に、早稲田大学教育学部の大槻宏樹名誉教授が「一人前 ー 近代以後」をテーマに基調講演し、「一人前」の条件などを語りました。
大槻教授はまず、一人前には2つの意味があることを紹介し、1つ目は、「分配の前」と取り、「食事一人分を得られること。また、そのための仕事ができること」をあげ、2つ目は、「前」を「前に出る」と取り、「一人分だけ前に出られること。二人分は前に出ない分、いわゆる分限をわきまえること」が説明されました。
続いて、地域の共同体が衰退する前の日本では、若者が15歳になれば、「若者組」に所属し、身分の高低に関係なく平等に、一人前になったとの見方を示しました。
近代以降は、「教育制度が整うにつれ、一人前の条件について答えがなくなり、これを補うための世代間での教育の意義を考えていくべきだ」と強調されていました。
フォーラムは、多田仁一(東京都・高校教諭)、築山桂(作家)、中島辰男(前県立若狭歴史民俗資料館長)、前川正名(大阪大助手代理)の各氏をパネラーに、多仁照廣氏(敦賀短大教授)が司会を務められました。
それぞれの立場から、江戸時代、幕府や藩が庶民教化政策の一環として、忠孝・節婦・善行・奇特などの徳目について、現代の教育事情に接点があるのか、事例を上げながら、現代教育の難しさを含めた意見や解説がなされ、意義ある討論となりました。
開催場所
敦賀市・敦賀女子短期大学